紫外線ケア徹底ガイド その2

コスメの基礎知識

SPF50+/PA++++の日焼け止めは必要ない!?【紫外線ケア徹底ガイド・その2】

2021年9月27日

うぱさん
こんにちは!元・化粧品原料屋さん、現・美容ライターのうぱさんです♪

今回は、前回の記事に引き続き、紫外線ケア徹底ガイド・その2をお送りします。

前回の記事を読む?

紫外線ケア徹底ガイド その1
高級美容液?いいえ、一番大事なのは「日焼け止め」です【紫外線ケア徹底ガイド】

うぱさんこんにちは!元・化粧品原料屋さん、現・美容ライターのうぱさんです♪ うぱこすめ。の記念(?)すべき初テーマは「紫外線ケア」!   化粧品業界で肌のことを学び、数々の化粧品原料の資料を ...

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日焼けだけじゃなく、シワ・たるみや肌荒れ、敏感肌といった肌トラブル全般の原因となる紫外線。
 

そんな紫外線を防ぐには、日焼け止めを塗ることが大切とお伝えしました。
 

「じゃあ良い日焼け止め買ってくるね!」
というあなた!ちょっと待って!!
 

日焼け止めを買う前にどうしても言いたいことがあります...それは、
 

「SPF50+の日焼け止めはいらないよ!!」
ってこと。
 

うぱさん
「SPF高いほうがいいんじゃないの?」って思うよね。でも違うんだ

 

そう。日焼け止めは数値が高ければ高いほうがいい、というわけではないのです。
 

ということで今回は、日焼け止めの選び方の前半として「SPF」と「PA」について解説します♪
 

日焼け止めの「SPF」と「PA」の意味

SPF50+の文字
日焼け止めのパッケージにある「SPF」と「PA」という文字、みなさん見たことありますよね。
では、それらが示す意味ってご存知ですか?
 

このSPFとPAは、カンタンに言えば「紫外線を防ぐパワーを数値化したもの」
 

そして、それぞれカバーする紫外線の波長が違います
 

紫外線を防ぐSPF・PA、それぞれの特徴とは?

 

■シミ・日焼けを防ぐ「SPF」

SPFは「Sun Protection Factor」の略で、紫外線のうち日焼け・シミの原因となる「UV−B」に対する防止効果を示します。

SPFの数値は2〜50、そして50以上の場合は「50+」と表示され、この数値が大きいほどUV-Bから肌を守るパワーは高くなります。
 

■シワ・たるみを防ぐ「PA」

PAは「Protection Grade of UVA」の略で、シワ・たるみの原因となる「UV-A」に対する防止効果を示します。

PAは「PA+」〜「PA++++」の4段階で表示され、+の数が多いほどUV-Aから肌を守るパワーは高くなります。
 

「SPF」と「PA」って高いほうがいいんじゃないの?

背中にSPFの文字がある女性
となると「じゃあSPFとPAが高いほうがいいじゃん」って思いますよね。
 

たしかに数値で言えばそうなのですが、必ずしも高いほうが優れているというわけではありません
 

むしろ高SPFの日焼け止めを使うデメリットのほうを知ってほしい...。
 

SPF・PAの「紫外線を防ぐパワー」ってどういうこと?

そもそも「紫外線を防ぐ」日焼け止めの仕組みってどんなものだと思いますか?
 

うぱさん
「SPFは紫外線をカバーする時間のこと」と聞いたことがある人もいるんじゃないかな?

 

「SPF15だったら15分肌を守ってくれる」
「いやいやSPF15は15時間持続するんだ」
 

巷ではこのような誤解がありますが、これは正しくありません
 

SPFの数値は「日焼けを防ぐ時間」ではない!

誤解を生みやすいんですが、SPFもPAも「紫外線をカバーする時間」を表しているわけじゃないんです。
 

SPF・PAの計測方法を見てみましょう。
 

SPFの計測方法
SPF(Sun Protection Factor)は、UVBを皮膚に照射したときの炎症(紅斑)をどの程度抑えるかで測定されます。試験試料を塗布することで、紅斑ができる最も少ない紫外線量(最小紅斑量、Minimal Erythema Dose,MED)が、何倍大きくなるかで示されます。
※表示例  SPF 11 = 14.1(試料塗布部のMED)/1.25(試料無塗布部のMED)

 
PAの計測方法
PA (Protection grade of UVA)は、UVAを皮膚に照射後2〜4時間にみられる皮膚の黒化(持続型即時黒化 Persistent Pigment Darkening, PPD)反応をどの程度抑えるかで測定されます。
試料塗布部と無塗布部との比より計算されます。

<出典:SPF/PA測定試験:ニコダームリサーチ

 

うぱさん
なんか...むずかしくてわかりにくいね

 

これらを簡単に言うと、
 

何も塗ってない素肌と比べて、SPF30の日焼け止めを塗ってる間は紫外線による炎症が30分の1になる
 

ということです。
(PAも同じようなものですね)
 

SPF30とSPF50はほとんど同じ?

そうなると、「じゃあやっぱり数値が高いほうがいいじゃん!」と思いますよね。
 

だかしかし、実はSPF30以降はほとんどUVカット効果が変わらないというデータもあるんです。
 

SPF値ごとの紫外線遮断率
SPF15 93%
SPF30 97%
SPF40 98%
SPF50 99%

<出典:MedicalNewsToday

 

このように、SPFの数値が上がるほど遮断率に差がなくなることがわかっています。
 

SPF30とSPF50の差ってたった2%なんですよ。正直、97%も99%も変わらないと思いませんか?結局SPF50でも100%防げるわけでもないし...。
 

高SPF・高PAの日焼け止めは肌への負担に

さらに、高SPF・高PAの日焼け止めには「肌への負担が大きい」というデメリットも。
 

日焼け止めには、紫外線吸収剤・紫外線散乱剤という2種類の紫外線防御剤が使われていますが、これらが肌を乾燥させたり刺激となることがあります。
 

紫外線防御剤が肌を乾燥させる?

紫外線吸収剤は、その成分の中に紫外線を吸収し、別のエネルギー(熱など)に変えて外へ放出させる仕組みを持っています。このエネルギーを放出する際、刺激となったり肌の水分を奪ってしまいます。
 

酸化チタンなどのパウダーである紫外線散乱剤は、紫外線吸収剤のようには肌への刺激はほとんどありません。しかし紫外線吸収剤よりもパワーが弱いため、高UVカットの日焼け止めにはたくさんの量を配合する必要があります。
 

うぱさん
粉体を高配合すると、どうしても肌が乾燥しがち...

 

敏感肌ではない私でも、高SPF/PAの日焼け止めはキシキシしたり乾燥とか違和感を感じるので苦手ですね。
 

もともとSPF50は当たり前じゃなかった

今でこそSPF50+/PA++++が当たり前の日焼け止めですが、昔はそうではありませんでした。
 

SPF50+/PA++++という新しい数値レベルが誕生したのも6,7年ほど前の話ですし、それより前はここまで高いUVカット効果は求められていなかったと思います。
 

近年紫外線の怖さが認識されるようになってから、「SPF/PAが高ければ高い方がいいはずだ!」と高SPFの日焼け止めを買う人が増え、じゃあ「売れるからウチもSPF50で作ろう!」とメーカー側もこぞって高SPFタイプを売り出すようになったんですよね。
 

うぱさん
「SPF50+までレベルがあるのなら、SPF15や30じゃ弱い・足りないんだ!」って感じちゃうよね

 

でも、アメリカ皮膚学会などでも日焼け止めのSPFは30あれば十分と言っています。また、皮膚がん予防のためだけならSPF15あれば十分という意見も。
 

肌を守るためのものがダメージになる

ここでもう一度、SPFごとの紫外線遮断率を見てみましょう。
 

SPFごとの紫外線遮断率
SPF15 93%
SPF30 97%
SPF40 98%
SPF50 99%

<出典:MedicalNewsToday

 

SPF30も50もほとんど変わらないですね。
 

このたった1,2%の違いのために、肌を乾燥させたり刺激を与えるかもしれないというのは本末転倒じゃないかなと、私は思います。
 

紫外線も少しは必要

また紫外線は有害ですが、骨や肌にとって大切なビタミンDを活性化させるという重要な働きも。
 

SPF50の日焼け止めで紫外線の99%を遮断するより、少し紫外線が入ってくるぐらいが健康的にもちょうどいいんじゃないかなーというのが、私の意見です。
 

うぱさん
なので、高SPFの日焼け止めは日常では使わないことをオススメするよ

 

シーンによって使い分ける♪「SPF」と「PA」の選び方

日焼け止めで書いたSPFの文字
「じゃあどのくらいのSPF・PAの日焼け止めを選んだらいいの?」という方へ、シーン別に適したSPF/PAの数値をまとめてみました!
 

もちろん住んでいる国・地域の日照時間や日射量によっても変わるので(北欧とハワイとかね)、目安として参考にしてください。
 

少ししか外出しない日:SPF10〜20/PA+〜++

・リモートワークの日
・家事だけ、寝るだけの日
・オフィスや屋内業務の日
・ちょっとスーパー行くだけ
 

そんな日は、SPF10〜20/PA+〜++といった低めのものでOK。
 

その代わり、外に一歩も出ない日でも(窓がある部屋なら)日焼け止めは塗りましょうシワ・たるみの原因となるUV-Aは窓を通り抜けます
 

SPFだけでなくPAの表記がちゃんとある日焼け止めを選んでくださいね。
 

一日外出する日:SPF25〜35/PA++〜+++

一日中外回り、遊園地や外に遊びに行く日などでも、SPF25〜35/PA++〜+++で十分。SPF50・PA++++はいりません!
 

外出中は、汗などですぐに日焼け止めが落ちてしまうので、数値よりも「こまめに塗り直すこと」が重要です。
 

マリンスポーツ・ウィンタースポーツ・登山:SPF40〜50+/PA+++〜++++

「じゃあSPF50の日焼け止めなんて使う機会ないじゃん!」
 

そうですね...正直ほとんどの場合いらないです。
ただ、高SPFが登場する機会ももちろんありますよ!!
 

・マリンスポーツ
・真夏のテニス大会
・山登り
・スノボ
 

などなど。こんなシーンではSPF50や50+・PA++++を使うとイイと思います。
 

うぱさん
でもそれは、SPF・PAよりもどちらかというとプラス効果である「ウォータープルーフ」「皮脂プルーフ」にメリットが。

 

汗をかきやすいシーンではウォータープルーフタイプを

というのも、スポーツ中って汗や水で顔面も腕もドロッドロになりますよね。しかも塗り直す暇がない
 

そんなときには「ウォータープルーフ」「皮脂プルーフ」効果が高い日焼け止めが最適。
 

しかも、これらの効果が高い日焼け止めは総じてSPF・PAも高いんですよね。なので、こういった過酷な環境下ではSPF・PA以上に「汗・皮脂・水で落ちない」タイプを選ぶのがオススメです。
 

SPF・PAよりも大事なのは「塗り方」

正直、数値よりも日焼け止めで一番大切なのは「塗り方」です!
日焼け止めは、「塗り方を間違えると効果が激減する」と言われているほど。
 

日焼け止めの塗り方のポイント
・外出15分前までに塗る
・塗りムラができないよう顔の数カ所に日焼け止めを置いてから塗り広げる
・できれば1回だけじゃなく重ね塗りする
・こまめな塗り直し(2,3時間おきがベスト)

 

この中でも特に大事なのが「こまめな塗り直し」
 

日焼け止めってすぐに落ちるんです。汗をかく夏場はもちろん、冬でも私たちは肘をついたり顔をかいたり...とにかく無意識にたくさん顔をさわっています。
 

うぱさん
いくら高いUVカット効果があっても、落ちてしまえば意味がないよね。

 

さすがに2時間おきは大変だしむずかしいと思いますが、お昼休みだとかトイレ休憩など気づいたときに塗り直してあげてくださいね。
 

まとめ

日焼け止めを塗っている手
というわけで、今回の紫外線ケア徹底ガイドは「日焼け止めのSPF・PA」について解説しました!
 

これは化粧品業界で働いている人の共通意見だと思うんですが、高すぎるSPF/PAの日焼け止めはあまりオススメしません
 

「SPF50+やPA++++は絶対ダメ!」というワケではありませんが(安全性の高いタイプや乾燥しないよう工夫された製品も出てるので)、ただSPF・PAの数値だけで判断するのではなく、見落としやすい塗り方やこまめな塗り直しといった点にも気をつけると良いと思います♪
 

<参考:環境省 紫外線保健マニュアル

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